金属アレルギーについて

 

1. 一般的な「アレルギー」の定義とは

1-1 抗原抗体反応

免疫反応が、特定の抗原に対して過剰に起こることを言います。

※人体には異物が侵入してきたときにそれを排除しようとする働きがあります。この異物の侵入に対して抗体を作って排除しようとするその動きのこと。

そしてアレルギーを引き起こす原因物質をアレルゲンと言います。

1-2 タンパク質

アレルギーはタンパク質に対し起こるもので、例えばスギ花粉症の場合、スギ花粉症を引き起こす抗原性物質の事をスギ花粉症のアレルゲンと言います。
ではその原因となるアレルゲン(抗原性物質)は何かと言いますと、スギの花粉成分中に含まれるタンパク質です。

2. 金属アレルギーとは?

「接触性皮膚炎」は、「刺激性皮膚炎」と「アレルギー性皮膚炎」に分類されますが、金属アレルギーとは「アレルギー性皮膚炎」です。
接触した部分に紅斑(こうはん、赤いぶつぶつ)や皮膚の盛り上がり、あるいは水疱をを生じる疾患で、激しいかゆみや痛みをともなう場合があります。
また、アレルギーの分類としては、「Ⅳ型・遅延型」に分類されます。
アレルギーはタンパク質に対し起こるものなので、金属が直接にアレルギーを起こすわけではありません。つまり、金属はアレルゲンではないのです。
金属から溶出した金属イオンが、人体が本来持つタンパク質(ケラチン等が有名)と結合し、アレルゲンとなるタンパク質に変質します。それがアレルゲンとなるのです。

2-1 金属アレルギー罹患者は増加している?

今や日本国内に1300万人の金属アレルギー罹患者がいると言われており、今後も増加していく見込みです。その理由としては、現代社会は金属アレルギーを発症しやすい環境と言えるからです。
現代社会で生活する私たちは、歯科治療で使用される金属製の詰め物、またはアクセサリー等の装飾品、メイク品、などに触れる機会が多く、金属アレルギーに対応した製品はあまり普及はしていません。
また製品を提供する企業側、そしてそれを使用する消費者側に金属アレルギーに対する正しい知識が少ないという事も原因であると考えられます。

2-2. 男女比率

金属アレルギーに罹患している割合としては、男性よりも女性のほうが多い事がわかっています。その理由として、女性は男性よりも装飾品やメイクなどによって「金属」に触れる機会が多いからだと考えられています。

3. 金属アレルギーの原因となるものの例

・アクセサリーなどの装飾品(ピアス、イヤリング、ネックレス、指輪、腕時計、ボディピアス、ヘアアクセサリー、ヘアピン)
・医療用体内埋め込み金属
・化粧品
・歯科治療用金属
・ヘアカラー剤
・衣類、服飾小物(ジッパー、ブラジャーワイヤー、衣類用ホック、金具、ボタン)
・眼鏡
・食物
・調理器具
・砂場や公園の遊具
・大気中に含まれるもの(揮発性有機化合物(VOC))

4. 金属は溶ける

4-1. イオン化傾向

イオン化傾向とは、金属の水溶液中での「陽イオン」のなりやすさ、の事を言います。

例えば、ニッケルは白金(プラチナ)よりも陽イオンになりやすく、簡単に言いますと「汗や体液などで溶け出しやすい金属である」と言えます。

4-2. 金属アレルギー3大原因金属

金属アレルギーの【3大原因金属】と言われているのが「ニッケル」、「コバルト」、「クロム」です。
厚生労働省による「平成27年度 家庭用品等に係る健康被害病院モニター報告」の「金属のパッチテストの結果」によりますと、
ニッケルに反応している人が多いことが分かります。
ニッケルは安価で金属製品に対して美しいつやや輝きを出したり、扱い易い事もあり装飾品などに多く使用されておりますが、このように「ニッケルアレルギー」の方も年々増加をしているという現状もあります。
これは、ニッケルに触れる機会が多い事と、ニッケル自体がイオン化傾向の低い金属であるからだと推測できます。
「ニッケルフリー」や「低ニッケル」と表記のあるアクセサリーなどの装飾品が販売されているのはこういった理由も背景にあります。

5. 金属アレルギーの予防

金属アレルギーを発症させないために、既に金属アレルギーの方には快適な生活を送っていただくために私たちが出来る事

5-1. 夏場や運動時

夏場や運動時等の汗を大量にかく事が分かっている場合には、事前に装飾品を外す等の配慮が必要です。
また、かゆみ等の症状が発現した場合には、原因と思われる製品の使用を中止することが大切です。
かゆみがなくなったからといって同製品を使用しないようにする事が大切です。そして、皮膚科などの専門医の受診をし、適切な治療を受ける事が大切と言えます。

5-2. 金属製品選び

普段から金属アレルギーを発症しやすい金属を身に付けない事を心がけましょう。イオン化しにくい金属製品を選ぶ他、例えば口腔環境を整え虫歯にならないような生活をする事が大切です。虫歯の治療をする場合は、保険適用内で使用される金属についてよく理解をした上で治療を受けるようにしてください。また、メタルフリー治療を推奨する歯科医院もありますので、良くお調べの上受診をされるようにすると良いでしょう。

5-3. ピアスホール

正しい知識を持って安全にピアスホールを空ける事が望ましいと言えます。金属アレルギーを発症するタイミングではピアスホールを開けた時が最も多いとされています。専門医または専門のピアッサーの指導の下、ピアスホールが定着するまで指定のピアスを装着する事が大切です。また、このピアス選びにも金属についてよく理解をした上で選ぶようにしましょう。